「虫歯や歯周病はうつるんですか?」
よくされる質問ではあるのですが、非常に専門的な説明になってしまうので、簡潔に答えるのは難しいです。
虫歯と歯周病、それ自体がそのままうつることはありません。
うつるのは細菌なのですが、夫婦間で同じDNAの細菌が検出されたという報告がありますので、細菌の人から人への移動はあるのでしょう。
しかし、虫歯や歯周病は、細菌がいるからというだけでは発症しません。
細菌が移動して、定着する。そして増殖する状態になる(ここでやっと感染です)。
そのうえで、食事、遺伝的要素、そして唾液や歯などの条件がそろった時、初めて発症するといわれています。
口の中の細菌については「いす取りゲーム」と説明されることがあります。
大人になるまでに、細菌のパワーバランスが決まっていきます。
つまり、いすがうまっていくのです。
大人はすでに、いすはほとんどうまっています。
子どもはまだ、あいているいすが多いので、細菌が座る場所があるという意味です。
ですから、まだ菌が少ない乳幼児と成人では、条件が違います。
「うつる」ということに関して言えば、大人の場合は、あまり気にしても意味がないでしょう。
乳幼児に関して言うならば、接するご家族の口の中の状態が良いかどうか、意識はしたほうが良いかもしれません。
遺伝的要素も関係しますから、お父さん、お母さんに虫歯や歯周病がある場合は、お子様のリスクに気をつける必要があります。