海老沢歯科・矯正歯科院長ブログ

睡眠時無呼吸症候群は怖い!

高速道路のサービスエリアで起きた夜行バスの事故の原因が、睡眠時無呼吸症候群ではないかとの報道がありました。

600メートル位前でガードレールに接触。
さらに、もう一度接触した。

「起きろ!」と運転手に向かって叫んでいる人がいた。

ほぼノーブレーキで衝突。

これらの情報が正しいとすると、事故の時にバスの運転手に異常があったのは間違いないでしょう。
運転手は、「睡眠時無呼吸症候群」に対して「要経過観察」とされていたようです。

平成15年に起きた新幹線の運転手による居眠り運転停止事故から、一般に知られるようになった睡眠時無呼吸症候群ですが、その後、定期的に重大事故が起こっています。

 

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に無呼吸(10秒以上の停止)を繰り返し起こす疾患です。
その結果、十分な睡眠が取れず、日中の強い眠気や集中力の欠如を生じ、作業能力の低下や居眠り運転、不注意などによる事故を起こしやすくなります。

また、睡眠中の無呼吸によって、低酸素状態が起こり、心血管系の合併症の心配があります。
睡眠時無呼吸症候群は、全人口の2〜4%の方が罹患していると言われています。

肥満が、特に危険因子として指摘されます。

 

治療法

原因になっていることを取り除く治療が基本です。
一般的には、肥満の改善指導、鼻の治療、薬物や飲酒習慣の改善指導、睡眠体位の指導などになります。

積極的な治療としては、歯科医院でのスリープスプリントというマウスピースの製作、扁桃肥大、アデノイドなどの治療、外科手術、CPAPという強制的に呼吸させる装置の装着などがあります。

 

こういう症状が出たら危険!

どういう症状があったら、気をつけたほうが良いのかをチェックしましょう。

□ 毎晩、大きないびきをかく
□ 夜間、何回か目をさます
□ 昼間、いつも眠たい
□ 居眠りをしてはいけない場面で居眠りをしそうになることがある
□ 朝、目覚めたときに熟睡した感じがしない
□ 朝、目覚めたときに頭が痛い
□ 肥満の傾向がある
□ あごが小さくて後方にひっこんでいる
□ 血圧が高い
□ 最近、集中力が落ちてきたと思う
□ 睡眠中、呼吸がしばしば止まっているといわれる
□ 睡眠中、寝返りや体動が激しい
□ 眠りが浅い
□ 睡眠中、何度も排尿のために起きる
□ 朝、寝床が湿っている
□ 就寝前にアルコールを飲む
□ 男性の方では、首まわりのサイズが42cm以上

これらに当てはまることが多かった方は要注意です。

 

歯科における「睡眠時無呼吸症候群」の治療

歯科医院での取り組みとなるのが、「スリープスプリント」というマウスピースの製作です。

上下の歯に対してマウスピースを作ります。

 

寝た時に、顎の位置が楽になるように固定します。

ちなみに写真は、わたしのスリープスプリントです。

 

これを付けて寝ると、呼吸が楽になるので、軽症の場合はかなりの改善がみられます。
近ごろは、専門医より依頼を受けて製作することも多くなってきました。
費用は、保険適用外の場合は4〜5万円です。

 

最初に歯科医院でスリープスプリントを作って、お試しで使ってみるのも悪くないですが、専門医で精密検査を受けておくと万全です。場合によってはスリープスプリントが保険適用になります。

専門医では、睡眠ポリグラフ検査という、脳波・呼吸・脚の運動などの様々な生理現象を計測・記録する検査を受けます。
終夜睡眠ポリグラフ検査という「お泊り」の検査が一番詳細で確実ですが、入院扱いとなり、費用がかかるようです。
昼間にやったり、簡単な装置を持ち帰る簡易型の検査もあります。

 

重症の場合は、CPAPという強制的に呼吸を行わせる装置を装着することもあります。
旅行などにも持ち歩くことを考えると、ちょっと大変ですね。
しかし、放置すると怖い病気ですから、仕方がありません。

 

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