「インビザライン」とは、透明で目立たないマウスピースを用いる「マウスピース矯正」のひとつです。
数あるマウスピース矯正のうち、インビザラインは難しい治療も可能なうえ、最も効率よく治療を進められる方法です。
一方、ネットやSNSで「インビザラインは費用が高い」「失敗した」といった話を見て、不安に思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、「インビザライン」は、他のマウスピース矯正よりも安く済むうえに、一人ひとりにあった治療をおこなうことで理想の歯並びを実現できるんです。
こんにちは、海老沢歯科医院の院長、海老沢です。
私の医院では、「インビザライン」を使ったマウスピース矯正治療に力を入れています。
インビザラインに関する誤解を解き、正しい知識を持ってインビザラインを選んでいただけるよう、本記事では患者さんからよく寄せられる疑問にお答えします。
また、記事後半では、失敗しない歯科医院の選び方も紹介します。
1.インビザラインとは?
「インビザライン」とは、米国に本社をもつ「アライン・テクノロジー社」が作る、最も有名なマウスピース矯正装置のブランドのひとつです。
「マウスピース矯正」とは、透明で目立ちにくいマウスピースを用いておこなう歯科矯正の方法のひとつで、痛みが少ないことからも、近年人気を集めています。
インビザラインは、他のマウスピース矯正と異なり、抜歯が必要となるような難しい症例にも対応できます。
なぜなら、インビザラインは、ワイヤー矯正と同じように、歯を根元からしっかり動かせる仕組みがあるからです。
具体的には、歯に「アタッチメント」と呼ばれる小さな白い突起物をつけ、そこに矯正装置を引っかけることで歯を動かしたい方向に動かせます。
以下の動画では、アタッチメントの動きを見られます。
(アタッチメントの動きを動画でご確認いただけます)
ちなみに、マウスピース矯正装置は、現在インビザライン以外にも20種類以上あります。
それらは以下の2種類に大別できます。
- インビザライン
- インビザライン以外(格安マウスピース矯正)
歯科医によって意見は異なるものの、私はインビザラインを強くオススメしています。
なぜなら、インビザラインは対応できる症例が多いうえに、理想の歯並びになるよう最短で治療を進められるからです。
インビザラインは、コンピュータに登録されている全世界の何百万という患者さんのデータを用いて、歯の動きをシミュレーションし、一人ひとりに最適な形のマウスピースを作れます。
シミュレーションした動きに沿って最短で治療を進められることから、費用を抑えられ、患者さんの身体にかかる負担も少なくて済むのです。
一方、格安マウスピース矯正では、アタッチメントを使った治療ができません。
そのため、カンタンな治療はできるものの、抜歯を伴うような難しい症例の治療はできないのです。
マウスピース矯正を始めてみたものの、なかなか歯並びが改善しない場合があります。
その場合は、治療を中断したり、他の方法で治療しなおしたりする必要があります。
もし格安マウスピース矯正をされていた場合は、インビザラインでの矯正への変更を検討してみるとよいでしょう。
私の医院には「格安マウスピースからインビザラインに変えられないか」と相談に来られる患者さまが多いです。
2.インビザラインのメリット
前述した特長以外にも、「インビザライン」を使った矯正治療には、以下のようなメリットがあります。
- 治療期間が短く済む
- 世界中の膨大な治療データを元に、治療計画の土台が自動で作られるので、治療にムダな動きがない
- ワイヤー・ブラケット矯正よりも抜歯せずに治療できることが多い
- 治療の完了イメージや治療期間の目安が最初にわかる
- 歯型をとるのが楽(専用スキャナーを使う場合)
- 専用の口腔内スキャナーで歯型をとるので、石膏型をとる必要がない
- スキャン回数が最初の1回のみ(※途中修正する場合は再スキャンします)
- 安全性が高い
- 世界100国以上の国々で13万以上の歯科医に採用され、 累計で1,100万人(2021年9月現在)以上治療を受けている
- FDA(アメリカ食品医薬品局)で医療機器として認証を受けている
- 矯正装置が機械で自動作成されるので、品質にばらつきがない
- 治療途中で虫歯治療をしてもロスタイムが少ない
- かぶせものをするような大がかりな虫歯治療でも、再スキャンすれば約2週間で新しい矯正装置が届く
- 永久歯が生え始めた6歳頃から治療できる
- 開発会社が大企業なので、途中で開発をやめる可能性が少ない
他のマウスピース矯正と異なり、インビザラインは、治療完了後の歯並びのイメージや治療期間を最初に把握できます。
そのため、
また、専用の口腔内スキャナーで歯形を取るため、石膏型を取る不快感がないのも大きなメリットです。
(ただし、口腔内スキャナーを保有していない歯科医院では、石膏で歯形を取ります)
一方、インビザラインについて「歯並びが元の状態に戻ってしまった」「嚙み合わせが悪くなった」といった話を聞いたことがあるかもしれません。
しかし、このような話には、間違った情報が含まれていたり、説明が不足していたりすることが多いんです。
そこで続いて、実際に私が過去に患者さんからいただいた質問を踏まえて、「インビザライン」に関する疑問に徹底回答します。
3.インビザラインに関する14の疑問に徹底回答!
この章では、「インビザライン」について患者さんからよく寄せられる14の疑問に回答します。
ぜひ、興味のある項目からお読みください。
Q1.何歳から治療ができるの?
インビザラインには、永久歯が生えはじめたころから利用できる「インビザライン・ファースト」というシリーズや、永久歯が生えてくるスペースを確保するためのオプションがあります。
そのため、永久歯が生え始めた6歳から、歯の状態がよければ何歳になっても「インビザライン」で治療できます。
永久歯がまだ生えていないお子さまの場合は、永久歯の生えてくるタイミングを見計らいながら治療を進めます。
永久歯が生えそろう前の患者さん向けのオプション
ちなみに私の医院では、お子さまの歯並びにあわせて、以下の2つのオプションを使って治療を進めます。
- 萌出(ほうしゅつ)スペース機能
-
永久歯が生えそろっていない患者さんも治療できるように、新しい歯が生えてくるスペースを確保する機能です。
- コンプライアンス・インジケーター機能
-
装着時間が長ければ長いほどマークの色が薄くなる機能です。
大まかな装着時間を把握するためだけではなく、10代の患者さんのモチベーションをあげる効果もあります。
奥歯の頬側に付きますので、外から目立って見える心配はありません。
私の医院には20代〜30代の方がもっとも多く来られますが、10代や40代以上の方もたくさんいらっしゃいます。
多くの患者さんから聞いてきたのは「もっと早く矯正すればよかった」「もっと早く相談すればよかった」という後悔の言葉です。
この記事が、「治療を始めてみよう」という勇気につながることを願っています。
Q2.治療の痛みはどの程度?
「インビザライン」を使った治療は、無痛ではありません。
しかし、「ワイヤー・ブラケット矯正」と比べて、「歯が動く痛み」と「矯正装置が口の中に当たる痛み」を大幅に抑えられます。
歯が動く痛み | 矯正装置が口の中に当たる痛み | |
---|---|---|
インビザライン | ジワジワと歯を動かせるので、強い痛みを感じにくい | 矯正装置の表面がなめらかで、口の中を傷つけて痛むことがほとんどない |
ワイヤー・ブラケット矯正 | 一気に力を加えて歯を動かすので強い痛みを感じやすい | 装置が口の中の粘膜や舌に刺さって痛い |
それぞれの痛みについて、もう少し詳しく説明します。
1.歯が動く痛み
歯が動くとき、歯は元の形を維持したまま、歯茎を移動するのではありません。
歯茎の下で、歯は進行方向にある骨を吸収し、元の場所にできた隙間に新しい骨を作ることで動いているのです。
厳密には、歯の根っこ(歯根)の周りの「歯根膜」という組織で、骨の吸収と再生が繰り返されています。
この「歯根膜」が骨を吸収したり再生したりするときに生じるのが、歯科矯正時のジーンとした痛みです。
短期間での歯の移動量が大きいほど、この痛みは強く出やすくなります。
- ワイヤー・ブラケット矯正の場合
- 1ヶ月分の移動量を考えて、一気に力を加えて歯を動かす
- インビザラインの場合
- 機械によって出された最小限の移動量を、7~10日間隔に分散して歯を動かす
ワイヤー・ブラケット矯正では短期間で歯を大きく移動させます。
一方、インビザラインはジワジワと歯を動かすため、強い痛みを感じにくいのです。
2.矯正装置が口の中に当たる痛み
ワイヤー・ブラケット矯正の場合、次のような痛みを感じることがあります。
- スポーツ中に口をぶつけて、口の中が矯正装置でキズだらけになって痛い
- 金管楽器を吹く時に、装置が粘膜に当たって痛い
- ワイヤーやブラケットが粘膜や舌に刺さって口内炎ができて痛い
ひどいときは、食事や会話がままならないほど、口内炎が悪化することもあるんです。
その点、インビザラインは矯正装置の表面がなめらかで、口の中を傷つけることがほとんどありません。
Q3.治療期間と通院頻度はどれくらい必要?
治療期間はカンタンな治療であれば3ヶ月ほど、長い場合でも3年ほどです。
(私の医院では、1年強で治療を終える方が多いです)
治療期間を短く、痛みも出にくくするためには、1日20時間以上の装着時間をきちんと守りましょう。
また、通院の間隔は、治療内容にもよりますが3〜4ヶ月に1回でも十分です。
装着状況のチェックやクリーニングで、1〜2ヶ月に1回の通院を勧めている歯科医院もあります。
長期出張や里帰りなど、通えない事情があるときは前もって歯科医師に相談しましょう。
通院間隔があく場合は、虫歯や歯周病にならないように、口腔環境を自己管理することも大切です。
「加速矯正装置(かそくきょうせいそうち)」を使うと、治療期間を半分以下にまで短縮できることがあります。
「結婚式が1年後にある」「とにかく一刻も早く治療を終わらせたい!」といった方は、加速矯正装置が使えるか、オプション料金はいくらなのかをカウンセリング時に確認しておきましょう。
たとえば、私の医院では以下のような加速矯正装置をオプションで用いることがあります。
- オーソパルス(OrthoPulse)
-
マウスピース矯正装置の交換サイクルを、通常の約7日~10日に1回から最短3日に1回にまで早められる装置です。
治療が1年で終わる予定の方が、4ヶ月~6ヶ月で終わるほど短くできることもあります。- 海老沢歯科医院ブログ「加速矯正装置の説明」へ
- ※上記は医療広告ガイドラインに準拠して記載しています
- カリエール・モーション(CARRIERE MOTION APPLIANCE)
-
抜歯を避けたいときなどに、奥歯を奥に動かすために必要な期間を、この装置を使うことで大幅に短縮できます。
Q4.どれくらい治療費がかかるの?
続いて、気になる治療費と支払い方法について説明します。
1.治療費の相場
インビザラインの治療費の相場は80〜90万円程度です。
(高いところでは110〜130万円程度で設定されている場合もあります)
インビザラインには3つのパッケージプランがあります。
多くの歯科医院で記載されている30万円程度のプランは、とてもカンタンな治療向けのパッケージプラン(エクスプレスパッケージ)を指しています。
最も一般的なプランは「コンプリヘンシブ・パッケージ」のため、「30万円から」と記載されていても、実際には80〜90万円ほどかかることが多いことを覚えておきましょう。
料金設定で気をつけていただきたいのは、相場よりもかなり安い場合は、歯科医の経験が浅い可能性があるという点です。
次章の「4.歯科医直伝!失敗しない歯科医院の選び方」で、歯科医の選び方を紹介しています。
ぜひこちらも参考にしてみてください。
私の医院では、治療費が固定の「トータルフィープラン」を採用しています。
コンプリヘンシブパッケージの場合、治療費は77万円(税別)からで、毎回のチェック代も含みます。
2.治療費の発生タイミング
ここで1点注意したいのが、「プランにどこまでの治療が含まれているのか」という点です。
治療費には、主に以下のような費用が含まれます。
歯科医からカウンセリング時に提示される料金には、これらの費用がすべて含まれているケースと、通院時に毎回支払うケースがあるのです。
- 総額固定プラン(トータルフィー、総額提示方式)
- 何度通院しても追加費用が発生しない方法です。
合計金額が決まっているので長期化しても安心です。 - 通院にあわせて都度支払う
- 管理費や調整費が発生するタイミングで都度支払います。
支払い合計金額が見えにくく、長期化すると高額になる可能性があります。
どちらの場合でも、どこまでの治療が含まれているかは、歯科医院によって異なります。
カウンセリング時に、最初に支払う費用に何が含まれるのか、今後どんなときに追加費用がかかるのかをしっかりと確認しておくと安心です。
3.支払い方法
支払い方法は、歯科医院によって異なります。
現金や銀行振込による一括払い以外にも、歯科医院独自の分割支払い、クレジットカード支払いやデンタルローンを利用できる場合もあります。
通いたい歯科医院で確認しておきましょう。
私の医院では、1年以内での分割払いも行っています。
分割には頭金が30万円必要ですが、毎月4万程度のお支払いで治療が可能です。
また、デンタルローンの場合は最長7年で分割でき、月々10,000円程度から治療を受けられます。
(金利や支払い回数によって異なりますので、お気軽にご相談ください)
4.医療費控除制度が使えるケース
矯正治療は「容ぼうを美化するため」の目的であれば医療費控除の制度対象外です。
一方、「噛み合わせ」の治療が目的の場合は医療費控除の対象となります。
詳しくは以下のブログを参考にしてください。
Q5.矯正装置の手入れにはどれくらい手間がかかるの?
インビザラインは10日前後で矯正装置を交換するので、他の装置と比較すると清潔な状態を保ちやすいです。
以下の方法で正しくケアをすることで、虫歯や歯周病、臭いなどのトラブルをより予防しやすくなります。
- 1.マウスピース矯正装置の洗浄・お手入れ方法
-
毎日のお手入れは、マウスピース矯正装置を外したときに歯ブラシでブラッシングをするぐらいで大丈夫です。
(歯磨き粉は矯正装置を傷つけてしまうことがあるので使わないでくださいね。)匂いや細かいところが気になる場合は、インビザライン専用の洗浄剤(クリーニングクリスタル)や、超音波洗浄機を使うこともできます。
- 2.マウスピース矯正装置の保管方法
-
食事中や歯磨き中など矯正装置を外している間は、必ず装置をインビザライン専用ケースに入れましょう。
うっかり矯正装置を壊して作り直しになると、装置を作っている間に治療が進められなくなります。 - 3.マウスピース矯正装置の装着方法
-
指でもつけられますが、「アライナーチューイー」を噛み込むとしっかり装着できます。
歯の列全体を2往復するように奥から前、前から奥に少しずつずらしながら噛みます。
その後、アタッチメントが付いている場所を1箇所ずつ押して、しっかり入っていることを確認しましょう。
Q6.効果を実感できるまで時間がかかるって本当?
症例によって異なりますが、カンタンな治療の場合は、3か月くらいで歯並びが整い始めます。
抜歯を伴うような難しい治療の場合は、抜歯後、歯の隙間が閉じるまでに半年ほどかかることがあります。
ワイヤー・ブラケット矯正に比べて、多くの場合は短期間で歯並びが整うのを実感できます。
ただし、ワイヤー矯正の方が得意な動きもあり、全ての症例においてマウスピース矯正のほうが短期間で治療が済むわけではありません。
インビザラインの治療を助ける方法
インビザラインでの矯正を助けるために、他の矯正方法でもよく取り入れられる以下の方法を使うことがあります。
- IPR(アイピーアール)
-
「IPR」は、歯の表面を0.2ミリ〜0.5ミリ程度削り、横幅を小さくする方法です。
(「ディキング」「ストリッピング」とも呼ばれます)
「IPR」をすることで矯正スピードがあがったり、抜歯をせずに治療できたりする可能性が高まります。幅の広いデンタルフロスのようなパーツを歯の間に通すだけですので、歯を削りすぎる心配もありません。
長年おこなわれている処置ですが、IPRが原因で虫歯になりやすくなるという報告はありませんので、ご安心ください。
- ゴムかけ
-
「ゴムかけ」とは、歯につけた透明のボタン(クリアボタン)や、マウスピース矯正装置につけた切り込みにゴムをひっかけ、歯並びや噛み合わせを調整する方法です。
ゴムをつける期間やつける場所は、治療の内容によってさまざまです。「ゴムかけ」は治療効果を上げるために、とても重要な役割を果たします。
ゴムのかけ外しの方法はカンタンで、ほとんどの方がすぐに慣れて自分でできるようになります。
どの方法をおこなうかは、治療内容や歯科医師の考えによって異なります。
ベテラン歯科医師であれば、患者さんそれぞれの適切なタイミングで適切な方法をオススメします。
歯科医師のアドバイスも踏まえ、無理のない範囲で取り入れてみましょう。
Q7.治療後に後戻りしてしまうことはあるの?
矯正後に歯並びが崩れることを「後戻り」といいます。
「後戻り」は、「インビザライン」に限らずどの矯正方法でも、誰にでも起こり得るものです。
一般的に歯科矯正では、治療が終わった後に 「リテーナー」と呼ばれる保定装置を一定期間装着し、後戻りを防ぎます。
リテーナーには、マウスピースタイプやワイヤータイプなど、いくつか種類があります。
私の医院では、インビザラインの開発会社が出している「ビベラ・リテーナー(vivera
retainers)」というマウスピースタイプの保定装置を使っています。
インビザラインと同じ感覚でカンタンに取り外しでき、患者さんへの負担も少ないです。
- ビベラ・リテーナー(vivera retainers)
-
- インビザラインの製造会社であるアライン・テクノロジー社製です。
- 片顎分3枚セットか両顎分6枚セットで、10日前後で交換していたインビザラインと違い、交換サイクルが長めです。
- インビザラインよりも、壊れにくいように固めに作られています。
(歯ぎしりしてしまう場合は壊れやすいので、夜は外すといった対応が必要です) - ビベラ・リテーナーのみの作成費用は約4〜6万円です。
そのほか通院毎の治療費が必要です。
保定期間はいつまで必要?
歯科矯正を終えた後も、噛み癖や頬杖などの癖で歯は動きます。
そのため、リテーナーをつける期間(保定期間)は厳密には決まっていませんが、長く保定すればするほどキレイな歯並びをキープできます。
とはいっても、ずっと装置をつけ続けるのも大変ですよね。
私の医院では、取り外しができるタイプの保定装置を使い、最初は保定装置をしっかりつけてもらっています。
しばらくして歯が大きく動かなくなったら、患者さんがムリなく続けられる範囲で保定装置をつける期間を調整しています。
Q8.噛み合わせが悪くなるなど、失敗する場合もあるの?
インビザラインで治療を進めるなかで、「歯並びが余計悪くなった」「隙間がたくさんできてしまった」というケースは、残念ながらあります。
しかし、これらの失敗は、矯正方法の問題ではなく、歯科医師の技術に問題があります。
インビザラインの失敗のほとんどは、歯科医師が患者さんの装着状況をきちんと把握しないまま治療が進むことで起こります。
患者さんの装着状況を確認していないことで、その次におこなうべき治療を間違えることがあるのです。
インビザラインに限らず、歯科矯正で失敗しないためには、治療経験が豊富な歯科医師を選ぶことがとても重要です。
Q9.治療中にホワイトニングやクリーニングはできるの?
インビザラインの治療中であっても、ホワイトニングやクリーニングも受けられます。
装置が取り外せるマウスピース型ならではのメリットです。
代表的なホワイトニングとクリーニング方法を3つご紹介します。
(なお、金額などの情報は2022年8月時点のものです)
- オフィスホワイトニング
-
- 歯科医院で歯に特殊なライトを当て、歯を白くする方法です。
- 1回だけで効果が出るため、ウエディングや写真撮影前で早く歯を白くしたい方にオススメです。
- 費用は歯科医院によって違いますが、私の医院では1本500円〜でおこなっています。
- ホームホワイトニング
-
- 自宅で約1〜2週間、マウスピース矯正装置にジェルをつけて歯を白くする方法です。
- じっくり最大限効果を出したい方にオススメです。
- インビザラインで治療中の方は、ジェルの購入のみでホワイトニングもできます。
- 私の医院では、インビザラインの治療中の患者さまはジェルの購入(1本1,100円)のみでホワイトニングをおこなっていただけます。
(費用は歯科医院によって異なります) - インビザラインの治療をおこなわず、ホワイトニングのみをおこなう場合は、以下の金額で受けていただけます。
- 上下・・・33,000円
- 片側のみ・・・22,000円
- ※ジェル1本の追加費用・・・1,100円
- クリーニングシステム エアフロー(AIR FLOW)
-
- 専用パウダーをスプレーして、歯周ポケットをキレイにするクリーニングシステムです。
- およそ10分で、軽い色素沈着を落とせます。
- 私の医院では、保険適用で1回2,000円程度で実施できます。
せっかく歯をキレイにするメンテナンス期間。
一緒にホワイトニングやクリーニングを行って、より自信をもてる歯並びを目指しましょう。
Q10~Q14.インビザラインに関するその他のQ&A
その他、私がカウンセリングでよくいただく質問と回答をご紹介します。
- Q10.マウスピース矯正装置を途中で壊してしまったら?
- マウスピース矯正装置を作り直せます。
ただし、歯科医院や契約のプランによって追加費用がかかってしまうこともあります。
カウンセリング時に、追加作成が発生したときの費用や条件を確認しておきましょう。 - Q11.マウスピース矯正をすると歯と歯の間に隙間ができるの?
- 歯茎と歯と歯の隙間が黒く三角形に見えるのは、主に加齢や歯周病の進行による歯茎の低下によるものです。
矯正方法の種類によってできるものではありません。
(この三角形の隙間を「ブラックトライアングル」と呼びます)
「マウスピース矯正をしたら隙間が目立つようになった」というのは、歯科矯正で歯並びがキレイになり、これまで歯が重なっていて見えていなかった隙間がたまたま見えるようになるためです。
気になる場合は、以下のような方法で隙間を埋められます。
- レジンなどで隙間を埋める
- セラミッククラウンで歯の形や大きさを調整するIPR(ディスキング、ストリッピング)で歯の最大幅を小さくして隙間をつめる
- Q12.虫歯がある時や、歯周病の場合も矯正を進められるの?
- 先に虫歯や歯周病の治療が必要な場合もあります。
私の医院は、一般歯科もおこなっており、セラミックを使うことで、即日で虫歯治療を完了させることも可能です。
そのため、治療期間が長くなる矯正治療を先にスタートし、並行して虫歯の治療を進められます。
初回のカウンセリングや精密検査で歯の状態をチェックし、どのような進め方がいいかをご提案します。 - Q13.途中で妊娠しても治療は続けられるの?
-
妊娠中の方でも治療できます。
ただ、状態や時期によっては避けるべき期間もあるため、妊娠の可能性がある時はお知らせください。
私の医院は妊娠出産経験のある女性スタッフもおりますので、親身になって対応いたします。
(私も子どもが4人おりますので、妊娠出産の大変さを近くで何度も見てきました)妊娠中の治療については、私のブログで詳しく書いていますので、こちらもご覧ください。
- Q14.転勤や引っ越しで通えなくなったら?
- 引っ越し先のにある歯科医院へデータをお渡ししますので、引っ越し先の歯科医院で治療の続きを受けられます。
ただし、転医先での治療費などについては、調整が必要です。
引っ越しで通院が難しくなったときは、すぐに通っている矯正歯科に相談しましょう。
もし、上記以外にも気になることがありましたら、以下のLINEから当院にお気軽にご相談ください。
4.歯科医直伝!失敗しない歯科医院の選び方
インビザラインで理想の歯並びを実現するには、歯科医の技術も重要です。
歯科医を選ぶときは、以下の3つの条件がそろっているかどうかを確認しましょう。
- 歯科医の経験と知識が豊富であること
- インビザライン治療に最適化していること
- 便利なシステムがあること
それぞれの項目について詳しく解説します。
【ポイント1】
歯科医の経験と知識が豊富かどうかをチェックする
- インビザラインを扱っているかどうかを確認する
-
インビザラインは、すべての歯科医院で取り扱っているわけではありません。
(歯科医院のホームページに「マウスピース矯正」と書かれていても、それがインビザラインとは限りません)インビザラインを取り扱っている歯科医院は、「インビザドクター」というサイトで検索できます。
一定の治療数を経験したドクターしか掲載されず、都道府県別や、「iTero」というインビザラインのマウスピース矯正装置を作る機械がある歯科医院を見つけられます。 - 「認定医」なのは当たり前!「インビザライン・ステータスレベル」を確認する
-
インビザラインを扱っているのであれば「インビザライン認定医」なのは当たり前です。
見るべきポイントは、どれほどの症例数をこなしているかです。
インビザラインの場合、年間の症例数で「インビザライン・ステータスレベル」が変わり、これがひとつの指標となります。
Webサイトや院内に掲示されていない場合は、電話やメールで確認することをオススメします。ちなみに、現在、私の医院では500以上の症例数があり、プラチナエリートプロバイダーの認定を受けています。
- 質問したらわかるまで教えてもらえるか確認する
-
「なぜマウスピース矯正なのか」「なぜインビザラインなのか」「抜歯するのかしないのか」といった患者さんの疑問は、歯科医師が各治療法のメリット・デメリットを熟知していなければ、しっかりと説明することは難しいでしょう。
疑問に感じたことはその場で聞き、納得のいく答えや理由を教えてもらえるかを確認しましょう。
【ポイント2】
インビザライン治療に最適化している歯科医院かどうかをチェックする
- 治療開始前にカウンセリングが受けられるか確認する
- 大きい病院であれば初診料がかかることが多いですが、歯科医院では無料で相談できるところもあります。
大切な身体とお金や時間に関わる治療です。
初回のカウンセリングがなく、いきなり契約が必要な歯科医院は避けましょう。 - 歯科医師だけでなく、歯科衛生士も治療の進捗状況を確認できる
-
実は、インビザラインの治療に最適化している歯科医院では、歯科医師よりも歯科衛生士のほうが、患者さんと接する時間が長くなります。
なぜなら、歯科衛生士のトレーニングが行き届いているため、歯科衛生士が歯科医師と同じレベルで、患者さんの装置の装着状況を管理したり相談にのったりできるからです。歯科医師が本来時間を割くべきなのは、歯並びの診断とマウスピース矯正の設計です。
しかし、治療体制が整っていないと、歯科衛生士のトレーニングが不十分となり、患者さんの状況を歯科医師がひとりで把握することになります。
患者さんの目には「歯科医師が親切だ」という風に映るかもしれませんが、実際には歯科医師が担当すべき業務に十分に時間を割けていない状況だと言えるのです。そのため、歯科医師以外のスタッフにも相談できそうかという点は、歯科医院がインビザラインに最適化されているかどうか、治療体制が整っているかどうかを知る上でも重要なのです。
- メールやLINEなど、対面以外でもすぐに相談できる手段があるか確認する
- インビザラインの場合、通院間隔はおおよそ1〜4ヶ月に1回程度です。
対面以外でも写真を送って相談できるような手段があると、何かあった時に安心です。
【ポイント3】
便利なシステムがあるかどうかをチェックする
- インビザライン専用スキャナー「iTero(アイテロ)」が歯科医院にあるかを確認する
- 「iTero」がなければ石膏模型で歯型をとる必要があり、その場で3Dシミュレーションを見られません。
矯正装置を作るときに歯型を郵送する時間がかかってしまうなど、「iTero」を持っていない歯科医院ではインビザラインで治療するメリットが減ってしまいます。 - 予約方法が電話以外にあるか確認する
- どんなにいい矯正歯科だったとしても、予約をとるのが面倒なシステムでは、通い続けるのは大変です。
Web予約など、電話以外にも予約可能な方法があると、忙しい方でも安心です。 - 通いたい曜日や時間帯に予約がとりやすかを確認する
- 通いたい曜日や時間に開業している歯科医院でも、予約がとれなければ通い続けるのは大変です。
「夏休み時期は学生で混んでいて予約がとれない」「土曜日はいつもいっぱい」ということがあるかもしれません。
希望の曜日や時間を伝え、予約がとれるかどうかを確認しましょう。
このように、事前に歯科医院のWebサイトを見たり、カウンセリング時に歯科医師に質問したりすることで、安心して治療を任せられそうかをチェックしましょう。
5.インビザラインの7つの治療例を紹介
顎変形症など、顎の骨から治療した方がいい歯並びやひどい虫歯や歯周病がある場合は、「インビザライン」だけでは治療ができません。
言い換えれば、口の中や顎の骨に問題がない歯並びは、ほぼすべて治療できます。
ここでは、私が「インビザライン」を使っておこなった数々の治療から、代表的なケースを7例ご紹介します。
- ●以下の症例を見る前に知っておいていただきたい、各治療で起こり得るリスク
-
- 適切な装着時間、装着方法を守らないと予定通りに歯が動かないことがあります。
- 規定の装着を行った場合でも、かみ合わせや歯周組織の状態により、予測どおりの結果が得られない場合があります。
- マウスピース矯正装置の使用によって、まれに顎関節に問題が生じる場合があります。
- 歯の移動によって、元々あったが見えていなかった歯の空隙が見えてくる場合があります。
- 歯の移動によって、まれに歯根が短くなる場合があります。
前歯のデコボコ(叢生)の治療例
【治療ケース1】期間:6ヶ月、費用:45万円(税込49.5万円)
【治療ケース2】期間:12ヶ月、費用:70万円(税込77万円)
【治療ケース3】期間:12ヶ月、費用:70万円(税込77万円)
【治療ケース4】期間:11ヶ月、費用:70万円(税込77万円)
すきっ歯(空隙歯列)の治療例
【治療ケース5】期間:6ヶ月、費用:45万円(税込49.5万円)
前歯のデコボコ(叢生)と出っ歯(上顎前突症)の治療例
【治療ケース6】期間:15ヶ月、費用:70万円(税込77万円)
前歯のデコボコ(叢生)と深い噛み合わせ(過蓋咬合)の治療例
【治療ケース7】期間:15ヶ月、費用:70万円(税込77万円)
もちろん、ここで挙げた症例以外にも、治療可能です。
歯並びに関するお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
6.当院での治療の流れ
当院では、まずはカウンセリングで患者さまのお悩みを聞き、一緒に治療計画を立てます。
もし不安なことや疑問に思うことがあれば、何でも相談してくださいね。
納得していただけるまで、しっかり説明します。
- 【STEP1】
カウンセリング&治療計画のご提案(シミュレーション、具体的な治療内容・治療費) -
患者さんの歯並びの悩みや、治療に関する疑問をヒアリングします。
そして、治療内容、メリット・デメリット、費用や期間などをご説明します。 - 【STEP2】
精密検査(口腔内検査、レントゲン撮影など) -
その後、治療を希望される場合は、精密検査に進みます。
精密検査では、口腔内検査のほかにレントゲン撮影、顔や口の中の写真撮影をおこないます。 - 【STEP3】
契約・お支払い -
治療目的と費用に納得いただけましら、治療の契約やお支払いへ進みます。
お支払い方法は院内での分割払いやデンタルローンなどもありますので、ムリなく支払える方法を選びましょう。 - 【STEP4】
アライナーを作成 -
スキャンデータをもとにインビザライン社から治療計画のシミュレーションが出されます。
その計画をもとに、歯科医師が治療計画を設計し、患者さまに計画をご確認いただきます。
(治療計画は納得がいくまで何度も作り直せます)
計画が決まったら、当院からインビザライン社に計画を共有し、治療期間中に必要なマウスピース矯正装置(アライナー)を一気に作成します。 - 【STEP5】
マウスピース矯正装置が歯科医院へ到着後、矯正を開始 -
患者さん専用に作られたマウスピース矯正装置を歯に装着します。
マウスピース矯正装置の取り外し方法、お手入れ方法や注意事項などをご説明します。 - 【STEP6】
治療内容にあわせて通院・マウスピース矯正装置の交換を繰り返します -
治療内容にあわせて、相談しながら矯正を進めていきます。
マウスピース矯正装置の交換を繰り返し、最後のマウスピース矯正装置が終われば、治療完了です。 - 【STEP7】 治療完了後、後戻りを防ぐため保定装置を装着します
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歯並びが整ったら、一定期間は「保定装置(ほていそうち)」をつけて歯並びを固定します。
当院ではLINEでも無料の写真診断と相談を受けています。
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最後に
いかがでしたか?
あなたがインビザラインについて知りたかったこと、すべてお伝えできたでしょうか。
もし、もっと知りたいことがありましたら、いつでも質問してくださいね。
それでは、またお会いしましょう。
- 話者・監修:
- 海老沢 聡(海老沢歯科医院 院長・歯科医師)