唾液の量を増やせば虫歯は予防できる!超かんたん虫歯予防法「唾液」の増やし方マニュアル

こんにちは、海老沢歯科医院のドクター海老沢です。
私は東京で20年以上、歯科医院の院長を務め、さまざまな患者さんとお会いしてきました。

あなたは虫歯がありますか?
もし、虫歯があるのなら、虫歯がない人からどう見られているか?を考えたことはありますか?

なぜそんなことを聞くかというと、実は最近、私は“ある場所”で衝撃的な事実を目にしたからです。

その場所とはYahoo!知恵袋。
そこには、虫歯のある彼氏や彼女をもった人が、恋人に対してどれだけネガティブな感情を抱いているかが綴られていました。

虫歯のある彼氏や彼女をもった人のイメージ

「彼氏の虫歯が酷すぎます。三十代の彼氏がいます・・・(中略)
正直、ドン引きするくらい汚いです。彼は気にしていなくても私が気になりぎて困っています」

「私は虫歯になったことがないので、本当に失礼ですが、ちゃんと歯を磨いていない、自己管理が不衛生な人というイメージが拭いきれません・・・(中略)
彼の親は彼が幼い時に、きちんと面倒を見てあげてなかったの??など、どんどん悪く考えてしまいます」

「彼女の虫歯がひどくて、困っています。
会話していても、歯の黒ずみは見えるし、口臭もくさくなっている感じです・・・(中略)
「歯医者って痛いでしょ!痛いし怖いもん!!」・・・って、子供みたいな言い訳をしてきます」

いかがでしょうか。
もし、あなたが虫歯を放置しているのなら、恋人から上記のように思われている可能性があるんです。

恋人だけではありません。
友人や仕事仲間、取引先からもそのように思われているかもしれないんです。

さらに、虫歯ができやすい口腔環境ということは、ひどい口臭も発生しやすいということです。
そうすると、自分のニオイで他人に不快感を与える、いわゆる“スメルハラスメント(スメハラ)”になってしまう恐れも。

スメルハラスメント(スメハラ)のイメージ

というわけで、虫歯の本当の怖さは、健康面での影響だけでなく、人間関係にも影響が出るリスクがあることです。

しかも今、歯の健康に気を遣う人が増えているので、その傾向は顕著です。

だから、断言します。
虫歯がある人は、できるだけ早く治しましょう。

ドクター海老沢

というわけで、あらためてこんにちは。
歯にまつわる話をどこよりもわかりやすく伝えたい、海老沢歯科医院の院長「ドクター海老沢」です。

冒頭から、ドキドキさせるようなことを書いてしまいましたが、口を酸っぱくして言いたいのは、虫歯は百害あって一利なしということ。
私は常々、虫歯のない人が増えれば増えるほど、人間関係のトラブルが減り、世界経済がよくなるとまで思っています。

そんな私が今回お届けするノウハウは、ズバリ、虫歯の予防のノウハウです。

ただ、予防のノウハウと言っても、多くの人は予防を面倒くさがります。
こういった記事を読んでいただいても、数分後には忘れてしまう人が多いでしょう。

だから今回は、読んだあとに絶対に忘れないよう、虫歯予防のノウハウの中でも、効果的かつ・カンタンで・シンプルなノウハウをお教えします。

それはズバリ、「唾液(ツバ)」の量を増やすというノウハウです。

実は、「唾液(ツバ)」の量を増やすだけで、虫歯になる可能性はグンと下がるんです!

「唾液(ツバ)」の量を増やすイメージ

なぜ、そんなことがいえるのか?
今回はその理由について迫ります。

もしあなたのまわりに虫歯の方がいらっしゃいましたら、この記事をこっそりシェアしてくださいね。

それではまいります!

まずは、虫歯が発生する仕組みを知っておこう

唾液(ツバ)が虫歯予防につながる理由をお教えする前に、まずは、虫歯はなぜ発生するのか?その仕組みを知っておく必要があります。

虫歯とは、口内にいる細菌が歯を溶かしてしまう現象のことを指します。

その細菌とは「虫歯菌(ミュータンス菌)」

虫歯菌(ミュータンス菌)

この虫歯菌、細菌という名のとおり、肉眼では見えないくらい小さくて、その大きさは長さにして0.0001mmほどだと言われています。(すさまじく小さいですね・・・)
この小さい菌は、私たちの歯に付いた食べ物を食べて生き延びています。

“歯に付いた食べ物を食べてくれる”と聞くと、なんとなくいい働きをしてくれているように思うかもしれませんが、実はここからが衝撃的な事実。

なんと、この小さい菌たちは、私たちの歯に付いた食べ物を食べた際、その場で「酸」を排泄するんです・・・。

ものすごく汚い話で恐縮ですが、私たちも食事を食べたあと、トイレに行って用を足しますよね。
虫歯菌も同じように、食事のあとに用を足すのですが、その用を足す場所が私たちの歯の上なんです・・・。

排泄のイメージ

イメージできましたか・・・?

つまり、口をゆすいでいなかったり、歯を磨いていない状態は、この排泄物を放置しているのと同じなんです・・・。


ちなみに、もう少し詳しくいうと、虫歯菌は「糖質」と呼ばれる成分が大好き。
その糖質を摂ったあとに排泄をします。

「糖質」という言葉を聞くと、「ははん、糖ということは甘い物のことか。なるほど、だからお菓子やフルーツを食べたら虫歯になるんだ!」と思ったかもしれませんが、実は、糖質を含むのはお菓子やフルーツだけではありません。

さつまいもやトウモロコシといった野菜、お米(白米)、パン、うどん、ラーメンなど、「別に甘くないよね・・・」といった食べ物にも「糖質」は存在しているんです。

というか、ほとんどの食べ物に糖質は入っています。

最近、ダイエットをする人たちの間で「糖質制限ダイエット」というものが流行っていますが、すべての食事から糖質を完全になくすなんてほぼ不可能です。

では、どのようにすれば虫歯菌の恐怖から逃れられるのでしょうか・・・?

虫歯菌の恐怖から逃れるための3つの考え方

虫歯菌の恐怖から逃れるためには、以下の3つの方法が考えられます。

  1. 1、虫歯菌に糖質を食べさせないように「糖質をできるだけ減らした食事」にする
  2. 2、虫歯菌が排泄する「酸」に溶かされないような『強い歯』をつくる
  3. 3、虫歯菌が排泄する「酸」を口の中から減らす

上記のうち「2」の『強い歯をつくる』というポイントに関しては、現実的な対処法があります。

実は、「フッ素」と呼ばれる成分を歯に塗ることによって、歯の上にバリアのようなものをつくれるんです。
この「フッ素」は、虫歯を完全に防いでくれるわけではありませんが、ある程度の予防効果が見込めます。

たとえば、歯科医院では『フッ素塗布』と呼ばれる処置をしてくれるところもあります。
最近では、ほとんどの歯磨き粉にフッ素が入っていますよね。

フッ素入り歯磨き粉のイメージ
(Amazonでもフッ素入りの歯磨き粉は買えます)

そして最後の「3」、『虫歯菌が排泄する「酸」を口の中から減らす』というポイントについて。
実は、このポイントこそが、もっともカンタンな虫歯予防につながります!

酸を減らすためには、酸を“中性”と呼ばれる状態にもっていくことが大事になります。
そこで使いたいのが、私たちの口の中に常備されている酸の中和剤。

そう、その中和剤こそが『唾液(ツバ)』なんです!

虫歯を予防するための最強の武器『唾液(ツバ)』

昔の人はよく、ケガをしたときに「ツバを付けておけば治る」なんてことを言ったものです。
あながちその慣習は間違いではなく、実は、唾液(ツバ)にはすごい効果があったんです。

その効果は以下のようなもの。

1、洗浄作用
口の中の汚れを洗い流す作用
2、中和作用
酸性に偏った口の中を、中性に戻す作用
3、抗菌作用
口の中をバイ菌から守る作用
4、再石灰化作用
酸によって溶かされた歯を元に戻す作用
5、粘膜保護
口の中の粘膜を守る作用

まさに1人5役!
スティーブ・ジョブズも真っ青の働きぶりです。

この中でも、とくに注目してほしいのが「中和作用」
先ほど、唾液(ツバ)は酸を中和するための中和剤だといいましたよね。
実は健康な唾液は弱アルカリ性なんです。

アルカリ性は酸性の逆の成分ですから、虫歯菌が排泄した酸と唾液(ツバ)が合わさることで、口内が中性の状態に保たれるというわけなんですね。

中和されるイメージ

健康な人の場合、一日に分泌される唾液(ツバ)の量は、1.5リットルのペットボトル1本分だといわれています。

ただ、この唾液(ツバ)、人によっては分泌量が少なくなる場合があります。
なぜなら、唾液(ツバ)の量はストレスによって変わったり、食べ物を噛む回数によって変わるからです。

では、唾液(ツバ)が少なくなったら、どのようにすればいいんでしょうか?

安心してください。

次にお教えする方法を使えば、唾液(ツバ)の量はカンタンに増やすことができるんです!

唾液(ツバ)の量を増やすための5つの方法

唾液(ツバ)の量を増やす方法はとってもカンタン。
唾液(ツバ)が分泌される仕組みを知り、その仕組みを応用すればいいだけなんです。

仕組みといっても、実はとてもシンプル。
私たちの身体は、食べ物を噛めば噛むほど唾液(ツバ)が出るようになっているので、食事の際にたくさん噛めばいいんです。
たくさん噛めば、それだけ食べ物の消化もしやすくなるので、身体の健康にもよく、一石二鳥ですね。

また、食後の時間にはガムを食べることもオススメします。

ガム

ガムは砂糖が使用されていないものを選びましょう。
たとえば「キシリトールガム」のような甘味料を使っているガムがオススメです。

キシリトールガムは「歯を再石灰化し、歯を丈夫で健康に保つ」というキャッチコピーで有名ですが、私個人としては、ガムを噛むことによって分泌される唾液(ツバ)の効果のほうが大きいように感じています。

また、唾液(ツバ)は口内が乾燥していると減っていくので、こまめに水分補給をすることも大事。
とくに日頃からポカ~ンと口を開けがちな方は、口内を乾燥させないように口を閉じるクセをつけたほうがよいでしょう。

というわけで、唾液(ツバ)の量が増える方法を箇条書きにまとめてみました!

唾液(ツバ)の量を増やすための5つの方法
  1. 食事はよく噛んで食べる
  2. 砂糖が含まれていないガムを噛む(キシリトールガムなど)
  3. こまめに水分補給をして口内の乾燥をなくす
  4. 口をポカ~ンと開けないようにし、黙っているときは口を閉じて、口内の乾燥をなくす
  5. 『唾液腺(だえきせん)マッサージ』をする

おや、5つ目に『唾液腺(だえきせん)マッサージ』という言葉が出てきましたね。
一体、これは何なのでしょうか・・・?

実はこの『唾液腺(だえきせん)マッサージ』こそ、今回の記事をお読みの方にぜひ覚えてもらいたい、イチオシのノウハウなんです!

唾液(ツバ)の量が一気に増える!
『唾液腺(だえきせん)マッサージ』がすごい!

『唾液腺(だえきせん)マッサージ』とは、唾液(ツバ)の分泌につながる箇所を刺激するマッサージのことです。
このマッサージを気が向いたときにすると、唾液が一気に増えるんです!

しかも、このマッサージは超手軽でカンタン!
どんなマッサージかは以下の図を見ていただくとわかりやすいと思います。

具体的には、顔にある3箇所のうち、いずれかの場所を刺激します。

唾液腺
(クリックで大きな画像を表示します)

唾液腺マッサージ
(クリックで大きな画像を表示します)
出典:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト「e-ヘルスネット」より

動画も用意してみました!
動画を観ていただければ、実際のマッサージのイメージがつかみやすいと思います。

これ実際に試すとわかるんですが、ほんまに唾液出ますよ・・・。

おっと、急に関西弁になってしまいましたが、それくらい唾液が出るのでぜひぜひ試してみてください。

虫歯の予防が面倒くさいなあ・・・という人は、この『唾液腺(だえきせん)マッサージ』だけでもおこなうようにしてください。
(もちろん、日頃の歯磨きもすごく大切なのですが・・・)

日本人は虫歯の予防に気を遣っていない人が多すぎる件

いかがでしたか?
虫歯ってちょっとした方法でカンタンに予防できるってわかりましたか?

実はこんなにカンタンに予防できる虫歯。
それでも虫歯になる人が減らないのは、歯に対する意識の問題が大きいでしょう。

その意識のアップデートにつながればと、最後に“ある調査結果”をお伝えして、締めにしたいと思います。

その調査結果とは、アメリカと日本との歯の意識の違いに関するものです。

2013年、日本の企業「パナソニック」は、30代から50代のアメリカ男性ビジネスマン200人と日本男性ビジネスマン200人の合計400人を対象に、「歯とオーラルケアに関する意識調査」を実施しました。
(該当のプレスリリースはこちら

以下はその調査結果を図にしたものです。
アメリカと日本とで、どれくらい意識が違うかを知ってもらえればと思います。

歯をキレイに保つために時間もお金もかけていいと考えている男性の割合

トラブルがなくても歯医者に通院する男性の割合

歯への年間投資金額

上記はビジネスマンに限定した調査結果ですが、アメリカのビジネスマンは日本よりも歯に対する意識が高いことがわかります。

実は、アメリカ男性の4人に1人は虫歯経験ゼロなんです。
つまり、25%の人は虫歯になったことがない。

それに比べ、日本男性は虫歯経験ゼロの人は20人に1人しかいない。
つまり、95%の人は虫歯経験者。

というふうにかなり大きな差があるんです・・・。

アメリカのビジネスマンは交渉事に強気になる人が多い傾向にありますが、歯に自信をもっているからこそ、強気な交渉ができるのかもしれませんね。


いかがでしたか?
虫歯予防の大切さを知っていただけましたか?

ぜひ、今回の記事を多くの人に読んでいただき、虫歯で悩む人たちをひとりでも減らせるとうれしいです。
もし、虫歯でお困りのことがあれば、LINEでもOKなので、遠慮なく相談してくださいね。

PS:『唾液腺マッサージ』、本当にオススメなので、ぜひ試してみてください。

話者:
海老沢 聡(海老沢歯科医院 院長・歯科医師)
監修:
海老沢 聡(海老沢歯科医院 院長・歯科医師)

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