保険適用の白い歯(CAD/CAM キャドカム)

今は金属を使わないでなおせます!

今までは金属を入れていたむし歯の治療ですが、すべての歯を保険で白い歯にすることができるようになりました。
一番後の歯はできないというルールも無くなりました。(欠損がある場合のブリッジ等、親知らずは適用外)
セラミックの歯ではありませんが、以前まで使われていた実用性が無い「弱いプラスティック」ではなく、CAD/CAM(キャドカム)という強化プラスティックの丈夫なものです。

 

もちろん、セラミックの歯が一番です。
当院に導入されている「セレック」という機械でセラミック修復物を即日製造して、その日のうちに接着する治療法が、段違いに長持ちします。歯を大切にするためには一番良い方法です。(保険外)

(※)保険適用のCAD/CAMは、1日でなおすことはできません。

材料としてセラミックがキレイでもちろん良いのですが、それ以上に、「歯を削ってすぐ接着する」という効果が、実はとても大きいのです。

一度はセレックの説明ページを読んでいただきたい。

 

 

しかし、保険外だと、ある程度の費用が必要になりますから、保険で治療したい方もいらっしゃるでしょう。

次善の方法ではありますが、「ノンメタル治療」を心がけている当院では、金属でなおすよりはずっと結果が良いと、わたしは考えています。
強度も以前のものとは段違いですし、見た目も全然違いますしね。

  「口の中の金属は無くしたい」

  これがわたしの本音ですから、

全部の歯が保険適用でCAD/CAMでの治療ができるようになったというのは、わたしにとって大変重要なことでありました。

 

セラミックの詰め物のメリットとCAD/CAMの詰め物のメリット

セラミック1DAY(セレック)には以下のメリットがあります。
  • 【メリット1】虫歯が再発しづらい
  • 【メリット2】詰め物が長持ちする
  • 【メリット3】臭わない
  • 【メリット4】他の歯へのダメージが少ない


セラミック(保険外)とCAD/CAM(保険適用)共通のメリットです。
  • 型取り不要(口腔内スキャナー使用)
  • エコ意識が高まる
  • 歯形をとるときの不快感がない
  • 金属と比べて見た目がきれい
 

材料による”歯に良い”比較

           
審美性 強度とれにくさ虫歯の再発もち
セレック
CAD/CAM
金属

金属の詰め物の問題点

金属は耐久性に優れた材料ですが、お口の中は咬む力がかかり、アイスクリームからお茶まで温度変化が大きい環境です。
熱膨張や咬合力のために金属修復物と歯の間に隙間ができ、むし歯の再発(二次カリエス)リスクが高まるのです。

歯の金属を外すと下には

歯の金属を外すと下には

金属の下の虫歯

たいてい虫歯が

金属の下の虫歯

歯の金属を外すと下には

金属の下の虫歯

たいてい虫歯が

※画像は症例ではなくイメージ画像です

 

また金属イオンが唾液と反応して溶け出すと、金属アレルギーの原因になるとも言われています。
その他、見た目が悪い、歯を削る量が増えるなど欠点が多いうえに、最近では金属の値段が高騰し、コストもかかってエコではないという点でも排除が望まれている材料です。
そのため、近年の歯科医療では、金属を使用しない「メタルフリー治療」を目指しています。

金属の詰め物からセレックの詰め物に変えた変化を表す画像

※画像は症例ではなくイメージ画像です

 

当院の接着材料と手法に対するこだわり

デジタル技術で精密に作られる今どきの修復物ですが、その精密さを活かすために最も大切な技術は、歯と接着する技術です。接着が正確に行われる事で、後々の「もち」に大きな違いが生まれます。

また、セラミックとも材質の違いから、接着方法は大きく異なります。
CAD/CAMは柔らかすぎるため、取れやすいという欠点があります。
ですから、接着はセラミックよりも難しいという一面があるのです。

選んでいるのは、できるだけ良好な接着ができる接着材です。
さらに、推奨される手順をきちんと守り、丁寧に接着を行います。

その手順は正確に行うと10ステップほどになり、複雑で手間を要しますが、当院では一切手を抜かず、すべてのステップを丁寧におこなっています。

セラミックの詰め物に接着剤を塗っている画像

なぜ白い歯が保険導入されたのか?

数年前から、歯科の保険で使用している金属(金銀パラジウム合金)の値段が高騰していました。
理由はいくつかありますが、ほぼ5倍程度にまで上がってきました。金やプラチナよりずっと高くなってしまった。

昭和の時代に、「安い」という理由だけで、日本だけで口の中に入れられていたパラジウム合金ですが、実はパラジウムは希少金属です。
パラジウムは、自動車の排気ガスを取り除く触媒として使われていたため、自動車の普及と環境問題から、どんどん使われるのに、産出量はその割合ほどは多くならなかったのでしょう、徐々に値上がりしました。
近年では、円安など様々な理由で、特に急騰しています。


(「ヤマキンニュース」より引用)

  金属の修復物を入れたときの3割負担の一部負担金も当然高くなっていて、1本歯を入れるのに負担金だけで数千円以上かかるようになることにもなっていました。
残りの7割を支払っている保険側も、どんどん支払いが大変になり、なんとかしないといけない状況に。

そんな中、ウクライナで戦争が始まってしまいます。
実はパラジウムという希少金属の産地の大部分がロシアだったため、ここ数か月は、特に急激に値段が上がっていきました。現在の値段は1gあたり1万円以上です。

技工料や金属代などを考えると、白い歯にしたほうが、まだ値段も安いということになりました。

 

なぜ今まで白い歯が保険導入されなかったのか?

今回認められた白い歯は、CAD/CAM冠と言われるもののインレー版です。インレーとははめ込み式の小さい修復物のこと。
どうやって作るかというと、工業用に作られてとても強度が高いブロック型のプラスティックを、コンピューターで設計したプログラムによって機械で精密に削って作ります。最近やっと普及してきた方法です。

こうやってできたものは、かなり強度がありますが、普通のセメントで付けると噛む力で割れてしまいます。
歯にしっかり接着することで非常に強くなるのです。この「接着」技術は、材料の進歩とともに、歯科医師の研究努力により進歩してきました。

簡単に言うと、

 
接着技術は、歯科医師による技術の差がとても大きい。

ある歯科医は「割れるからダメ」とか「取れるからダメ」といまだに言いますし、勉強熱心であたらしい材料をすぐ買う歯科医は「十分実用的」と言うことになります。

  また、型どりしたものをスキャナーでスキャンしてデータとしてコンピューターに取り込んでいくわけですが、そんなところにも技工士さんの人件費が発生しますし、機械がかなり高額ですので、技工所のコストとして跳ね返り、技工料も高くなります。
総合的に考えると、多くの歯科医院では、金属で作った方が白い歯よりもずっと安かったのです。

セレックも、セラミックを材料として使いますが、基本的に同じように作ります。
院内に口の中を直接スキャンできるスキャナーを持ち、設計技術がある歯科医師からすれば、その材料がプラスティックになるだけで、簡単なことです。

さらに、口腔内スキャナーを所有する歯科医院は限られますし、ましてや削って修復物を作るミリングマシンとなると、ほとんどの歯科医院にはありません。

デジタル修復物の技工を外注するとコストがかなりかかります。
接着技術の問題も考えると、そう簡単に金属のものから変更しにくい歯科医院もとても多く、保険適用にはハードルがあったのです。

金属代の急騰で、背に腹は代えられずで保険導入されたことも、なかなか皮肉なことだなあと感じます。