TBSで日曜の晩に放送されている「この差ってなんですか?」という番組で歯の話題がありました。
言われると気になるこの差ランキング
1000人中688人が気になった
むし歯になりやすい人となりにくい人の差
すぐ虫歯になってしまう人と、なかなかならない人。
確かにわかれます。
番組の中では、主に2つの原因をあげていました。
(1)3歳までに家族から虫歯菌がうつったか どうか
(2)よく噛んで食事をしているかどうか
(1)3歳までに家族から虫歯菌がうつったか どうか
虫歯の原因となるのは、主に「ミュータンス菌」という虫歯菌です。
「ミュータンス菌」は砂糖を分解して酸を出します。
この酸が歯を溶かして、虫歯になります。
実は虫歯菌は歯のない人にはいません。
ですから、歯のない生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には虫歯菌はいないのですが、7ヶ月くらいになると歯がはえてきますから、感染するチャンスが生まれます。
だいたい1歳半から3歳までの間に、口の中に住み着く細菌の種類が決まると言われています。
口の中に住み着く細菌の種類が決定すると、新たな細菌は入ってきても、既にいる細菌によって定着しなくなります。
「いす取りゲーム」のような仕組みです。
結果、3歳までに「ミュータンス菌」が口の中に定着しなかった人は、虫歯になる確率が小さくなると言われています。
この辺の仕組みは、以前詳しく書いています。
「虫歯や歯周病はうつるのか」
番組では、
キスをしたり、同じ箸やスプーンなどを使って、フーフーしながら食事をあげたりすることが感染原因と言われています。
と、言われていましたが、赤ちゃんに親がキスするのは当然です。
重要なスキンシップですから、しないのは逆に問題でしょう。
虫歯菌の感染を恐れてスキンシップを控えるのは、ちょっと違うとわたしは考えます。
しかし、この時期の親が、自分の口の中の状態に出来るだけ配慮する。
具体的には虫歯は完全に治療しておいて、歯周病のメインテナンスをしておくことは当然です。
(2)よく噛んで食事をしているかどうか
よく噛むと唾液が多く分泌されます。
唾液には抗菌作用があり、虫歯の原因となる「ミュータンス菌」を抗菌して洗い流してくれます。
よく噛んで食事し、唾液が多く分泌される人は、虫歯になりにくいです。
口を閉じた状態で、唾液腺(頬骨下で耳寄りのところ)をマッサージすると唾液の分泌を促すことができます。
このように説明されていましたが、全くそのとおりですね。
補足すると、虫歯菌の出した酸で酸性に傾いて歯を溶かす状態になったお口の中が、唾液がたくさん出ると、中和能力ですみやかに中性に戻るということです。
虫歯のなりやすさに歯みがきは関係ない?
「虫歯のなりやすさは、歯みがきの頻度に関係ない」と番組で説明されていましたが、これは誤解をまねきやすい表現なので補足します。
正確には、
歯みがきをしていないから虫歯になるという単純なメカニズムではなく、
- 虫歯菌が感染しているかどうか
- 唾液の性能や量、歯の石灰化度などの個人のポテンシャルの問題
- 糖の摂取方法や回数・タイミングなどの生活習慣
その他様々な複合的な要因にも影響を受ける。
ということです。
歯みがきの重要度は、生活習慣などの要因より小さいと考える先生が現在では多くなって来ていて、昔ほどは重要でないと考えられています。
歯みがきを一切しないのに、虫歯にならない人もいます。
一方で、リスクが高い人には歯みがきもたいへん重要です。
要は、個人差を考えてそれぞれの対策をする必要があるということです。
ところで、次に出てきたのが、
1000人中721人が気になった「猫のヒゲとイヌのヒゲの差」
なんですが、虫歯より気になる人が多いんですね。
ちょっとずっこけました。