抜歯はなぜ必要になるか
デコボコの歯を整列したら、まっすぐになったあと、前に出てしまいます。
また、デコボコがあまりにひどかったら、まっすぐ並ぶこともできない場合があります。
そのため、並ぶスペースが必要になりますから、それをどう作るかが、矯正治療のキモなんです。
スペースを作る方法
スペースを作る方法はいくつかあります。
- 抜歯
- 歯を削る
- 歯列のアーチをゆったりさせる
- 奥歯を奥にずらす
イメージとしては、狭いスペースにたくさん人がいて、横向いてまっすぐ並ぼうと思っても並びきれない。
- そこで、一人どいてもらおうか(抜歯)
- いや、全員でダイエットしてやせてもらおうか(歯を削る)
- 少し場所広げようか(アーチを広げる、奥歯を奥にずらす)
などの選択肢の中から選ぶイメージです。
それぞれの方法のメリット・デメリット
抜歯
一度に多くのスペースが作れますが、1箇所にまとまってスキマができるので、歯をそこに向かって1本ずつずらして並べる必要があります。
つまり、ある程度の時間がかかります。
歯を削ってスキマを作る
あちこちの場所をちょっとずつ削るので、スキマが分散し効率よく使えます。
つまり、治療の期間は一番スピーディーです。
この2つの方法は、歯を抜いたり削ったりすること自体がデメリットです。
歯列の形を改善する
比較的早くでき、歯のダメージもありませんが、作れるスペースには限度があります。
最も標準で使用される方法で、他の方法と併用します。
奥歯を奥に送る
インビザラインで治療する場合の特徴的な方法で、かみ合わせも改善しやすく、有用な方法です。
ワイヤーで治療する場合は、歯の奥にインプラントを入れるなどしないと難しいです。
デメリットは、大きな歯を1本ずつ奥にずらすので、時間がとてもかかることです。
治療のスピードをアップする方法
治療の期間がどうしても長くなってしまう場合には、補助的に使用して、治療のスピードアップをはかる方法もあります。
「加速矯正」と言われていますが、それをいくつか紹介します。
オーソパルス
こちらの記事をご覧ください。→ インビザラインと相性が良い加速矯正装置
フォトバイオモジュレーションと呼ばれる光を利用した装置で、通常7日〜10日交換のマウスピースが最短3日の交換になります。
痛みが軽減すること、短期間の交換になるので装置を清潔に保てることもメリットです。
カリエール・モーション
奥歯を奥に送る方法を加速して行います。
奥歯を動かすための1年以上の期間が、4ヶ月に短縮されることもあります。
抜歯するかしないかに影響すること
当然ですが、歯を整列させるために「スペースがどのくらい足りないか」ということが一番大きな影響を及ぼします。
次に大きく影響するのは、「治療期間がどの程度大丈夫か」ということです。
場所を作る方法によって、治療期間が大きく変わってきますから、全部でどのくらいの期間がかかるかを考えた上で、現実的な治療期間を設定しないといけません。
インビザラインとワイヤー矯正では抜歯率が大きく違う
ワイヤーによる矯正で、抜歯しないといけなくなる割合は60%以上と言われています。
対して、インビザラインによる治療で抜歯する割合は、当院の場合10%程度です。
なぜ、そうなるかと言うと、インビザラインは奥歯を奥に動かしてスペースを作るのが、ワイヤーに比べて得意です。
奥に動かしてスペースを作れるということが、ワイヤーによる治療に比べて大きなアドバンテージとなっているのです。
抜歯しない方が必ず良いとは限らない
抜歯したほうが良いかどうかは、患者さんのご要望によって影響を受けます。
しかし、いくら患者さんが抜歯を嫌がっても、治療期間が現実的な範囲か? 可能なのか?ということも考えなければいけません。
わたしは、できるだけ歯を抜かない治療計画を心がけていますが、やっぱり抜歯を行った方がいいなあと思うケースもあります。どっちもありだなあというケースも、かなり多いのです。
抜歯するかしないかは、歯科医によってもかなり判断が異なるので、患者さんも複数の歯科医の意見を聞くと困惑してしまいます。
どうして抜くのか、抜かないのか。歯科医の判断も理由もそれぞれです。
歯科医と十分話し合って、説明を受け、納得することが最も大切だと思います。
インビザラインの詳しい説明はこちらです
インビザラインは、取り外せる透明な矯正装置であるマウスピース矯正の中で、世界で最初に確立されたスタンダードシステムです。追加料金が発生せずに治療が可能です。