海老沢歯科医

年齢別・正しい歯磨きの仕方を解説 〜歯磨きペーストをどのくらい付けて磨くか〜

2019年1月30日更新
2017年11月26日公開

むし歯予防に重要な歯みがき剤のフッ素濃度が国際基準にやっと追いついた

フッ素は歯みがき剤に配合されることで、むし歯予防に効果があります。
日本の歯みがき剤は、これまで1000ppmF以下の濃度で配合されることが決められていて、市販されている歯みがき剤のフッ素配合は、余裕をみて最大で950ppmFになっていました。
科学的根拠に基づいて決められている国際基準(ISO)は、より予防効果の高い1500ppmFが上限ですので、日本は基準が低すぎたといえます。

2017年3月から、日本でも国際基準にのっとった1500ppmF配合がようやく認められ、むし歯予防先進国であるスウェーデンなど諸外国と同様のフッ素濃度歯みがき剤を入手できるようになったのです。

 

フッ素とは

フッ素は天然に広く存在する元素で、土壌、湖沼や川の水、海水などとすべての自然環境に存在しています。
海水中のフッ化物濃度は1.3ppmですが、この海水のフッ化物濃度は6億年の間、変化なく推移してきたことがわかっています。

また、日常口にする食品中には多くのフッ化物が含まれ、魚介類、牛乳、肉類、果物など、すべての食品に含まれています。

『ppmF』とは濃度を表す

濃度の詳細な説明は難しいので、興味がない人は読み飛ばして大丈夫ですよ。

フッ素濃度は『ppmF』で表示されることが多く、『ppm』は濃度を表す割合で『%』と同様のものです。
『%』は100分の1ですが、『ppm』(ピーピーエム)はその1万分の1、100万分の1です。
つまり、1%=10,000ppmです。
1500ppmFは、1g中にフッ素が1.5mg入っています。

以前の基準では、成人用フッ化物配合歯磨剤のフッ化物濃度は最大950ppm程度でした。
歯磨剤1gに0.95mgのフッ化物が含まれていました。これが1.5mgまで大幅に増えたということです。

 

高濃度フッ素配合製品は子供には使えない?

諸外国での基準はまちまちなので、日本でのガイドラインが出るのを待つかたちです。

歯の形成期である6歳未満は、過剰なフッ素を継続的に取り込むと、歯に白斑ができること(斑状歯)があります。
そのため、現時点では、高濃度フッ素配合の歯みがき剤については「6歳未満の使用を控える」という制限を自主基準で設けています。

 

フッ素の歯に対する効果は3つ


◯歯の再石灰化を促進する
◯むし歯菌の活動を抑える
◯歯を硬くする

歯みがき剤に入っている利点は、「毎日使う」からです。
使い続けることで、効果が上がります。

 

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高濃度フッ素配合(1450ppm)クリニカアドバンテージ コートジェル

 

フッ素を水道水に混ぜている国も多い

毎日フッ素を取り込むということでは、水道水に混ぜて効果を上げている国も多いのです。
水道水フロリデーションと言いますが、飲料水中に存在するフッ化物の量を適正な濃度に調整し、その飲料水を摂取することによってむし歯を予防する方法です。

海外の地域によっては、岩盤からフッ素が水道水に溶出し、全身症状を発症する程の高濃度なフッ素を含有している地域があります。
フィンランド南部などは、地形的にフッ素濃度が高い地域で、地下水に過量のフッ素が含まれています。
それらの地域の研究で、「飲料水中フッ化物濃度が1ppm以下であれば歯のフッ素症の流行がなく、また1ppm前後のフッ化物を含む飲料水はむし歯の発生を大きく抑制する」という結論が導かれ、フッ化物が不足した水道水にフッ化物を添加すれば、むし歯が予防できるということがわかったのです。

1945年アメリカから上水道へフッ素を混入するフロリデーションが行われています。
水道水フロリデーションの安全性および効果については、世界保健機関(WHO)米国疾病コントロール・予防センター(CDC)および世界中の各国歯科医師会など、国際的あるいは国家的な専門機関が保証しており、その普及を支持しています。

 

なぜ日本では水道水にフッ素を入れないか

一方、日本では水道水のフロリデーションなど全身応用は実施されていません。
岩盤にフッ素含有量が少ないこともあり、飲料水中のフッ素が少ないので、日本人はフッ素摂取量が不足気味と言われています。

しかし、一部にフッ素の摂取を過剰に心配する人がいるので、「選択の自由」ということで水道水には入っていないのです。

ですので、「日本人は、フッ素入り歯磨き剤を多少飲み込んだ方が良いくらいだ!」と予防歯科で有名なスウェーデンの歯科大の教授が話していました。
これから解説する方法で、安心して、高濃度フッ素配合歯磨き剤を使用してくださいね。

歯みがき

 

高濃度フッ素配合歯磨き剤で、簡単にできる歯みがきのポイントを解説します

 

磨くのは・・・1日2回

朝と寝る前の、2回の歯みがきが基本です。
※フロスを行う場合は歯みがき前に行います。

 

喫煙者は・・・1日3回

ハンディキャップのある方と喫煙者は、ハイリスクになりますので、1日3回が基本です。

 

大人は歯みがきを2cm付ける

高校生から大人までは、歯ブラシに2cm歯磨きペーストを付けます。

大人の歯みがき

 

小中学生は歯みがきを1cm付ける

小中学生は、歯ブラシに1cm(0.5グラム)歯磨きペーストを付けます。

子供の歯みがき

 

就学前の子どもは必ず子供用の歯磨き剤を使用し大人より少なめで

6歳以下には、高濃度フッ素配合の大人用歯磨き剤の使用は推奨されません。
必ず、「子供用」を使用しましょう。

歯磨き剤の量の目安は、

子供の歯みがき

4~6歳 1cm(0.5グラム)

 

赤ちゃんの歯みがき

1~3歳 0.2グラム

 

子供用ハミガキペーストの例:

クリニカKid sハミガキ ライオン
クリニカKid’sハミガキ(ライオン)

ドゥークリアこどもハミガキ サンスター
ドゥークリアこどもハミガキ(サンスター)

 

2分間磨く

2分

 

最小限の水(10ml)で15秒、1回だけすすぐ

フッ素を歯に残すために、少ない水で少しだけすすぎます。
ここに解説している量くらいの歯磨き剤なら、全部飲みこんでも全く害がありません。

歯磨きペーストが残っていても気持ち悪くない人は、すすがなくてもいいですよ。

歯ブラシの水の量

10mlって、たったこのくらい。

 

2時間は食事をしないでね!

歯磨き

 

そして、これも大事

「3ヶ月に1回」は歯科医院でプロフェッショナルクリーニングを受けましょう!!

 

※当記事の歯磨き法は、スウェーデン・イエテボリ大学カリオロジー科主任教授リングストローム教授の来日講演および講演時に示された論文を元に構成しております。

 

はみがき

 

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